これは「生きるための」戦いだ。

アフガニスタンとパキスタンで35年に渡り、病や貧困に苦しむ人々に寄り添い続けた、
医師・中村哲。
戦火の中で病を治し、井戸を掘り、用水路を建設した。
なぜ医者が井戸を掘り、用水路を建設したのか?
そして中村は何を考え、何を目指したのか?

「彼らは殺すために空を飛び、
我々は生きるために地面を掘る。」 -中村哲

中村の誠実な人柄が信頼され、医療支援が順調に進んでいた2000年。
思いもよらぬ事態に直面し、中村の運命は大きく変わる。
それが“大干ばつ”だ。
渇きと飢えで人々は命を落とし、農業は壊滅。
医療で人々を支えるのは限界だった。
その時、中村は誰も想像しなかった決断をする。用水路の建設だ。
大河クナールから水を引き、乾いた大地を甦らせるというのだ。
しかし、医師にそんな大工事などできるのか?
戦闘ヘリが飛び交う戦火の中で、無謀とも言われた挑戦が始まった―。

「ここには、天の恵みの実感、誰もが共有できる希望、
そして飾りのないむきだしの生死がある。」 -中村哲

専門家がいないまま始まった前代未聞の大工事は、苦難の連続だった。
数々の技術トラブル、アフガン空爆、息子の死・・・。
中村はそれらの困難を一つ一つ乗り越え、
7年の歳月をかけ用水路を造りあげた。
用水路が運ぶ水で、荒野は広大な緑の大地へと変貌し、
いま65万人の命が支えられている。
そして―。

2019年12月。さらなる用水路建設に邁進する最中、
中村は何者かの凶弾で命を奪われた。
その報にアフガニスタンは悲しみに沈み、
ニューヨークタイムズ、BBCなどが悲報を世界に伝えた。
あれから2年半。
日本ではその生き方が中学や高校の教科書で取り上げられ、
評伝などの出版も続いている。
中村の生きた軌跡は、これから長く人々に語り続けられるだろう。
そして彼がアフガンに遺した用水路は人々の命を支え続けるだろう。

戦火のアフガニスタンで21年間継続的に記録した映像から、
これまでテレビで伝えてきた内容に未公開映像と現地最新映像を加え劇場版としてリメイク。
混沌とする時代のなかで、より輝きを増す中村哲の生き方を追ったドキュメンタリー。

予告編

コメント

中村哲さんの魂が、混迷した時代に、進むべき道を指し示す。
自ら動き、戦争の愚かしさを訴え、人々の命に光をあてる。圧巻だ。
アメリカの軍用機が飛び交う中、命の河を掘り進める。
その20年にわたる記録を撮り切った撮影隊にも敬服する。
今、全ての人が見るべきドキュメンタリーだ。

塚本 晋也
映画監督・俳優

中村先生のコトバ一つ一つに魂を感じては泣いた。
『自分の出来ることを、する』
もがきながらも、突き進む姿。先生の眼差しの先にはいつだって『ひと』がいる。
今の時代に、今の私たちに、必要な助言が溢れている今作。
『先生、今の時代をどうみていますか?正直、生きてて欲しかった。』と最後に何度も呟いた。

サヘル・ローズ
俳優・タレント

人間は、街や村を破壊し、無数の人々を不幸のどん底に落とすことができる一方で、砂漠に水を引き、緑を蘇らせ、無数の人々に幸福をもたらすこともできる。
すべては私たちの選択にかかっている。
私たちは中村医師に続かなければならない。
この映画を全世界のあらゆる人に観てほしい。
特に権力のある政治家たちには必修にしたい。

想田 和弘
映画作家

アフガン無医村での診療や治水事業に献身した中村哲の半生を描くドキュメンタリー。
「平和は戦争以上に積極的な力でなければならぬ」という信念の下、圧倒的不平等に対する義憤は、誠実な“仁義の人”を突き動かし続けた。
人の本源的な姿が胸を打つ、素晴らしい一本。

中川 敬
ミュージシャン/ソウル・フラワー・ユニオン

自然の力は、人間の計らいを簡単に凌駕する。
コントロールしようとすればするほど、人間に刃を向けて来る。
私たちが身につけるべきは、自然にうまく沿いながら、その豊饒な恵みを受け取る方法だ。そこに崇高なものへの信仰が生まれる。
中村哲は、活動そのものが祈りであった人だ。
重機を動かすハンドル操作やつるはしを大地に穿つ一挙手一投足が礼拝となり、大地の力を呼び醒ます。真の平和とは何かを静かに問いかける作品だ。

中島 岳志
東京工業大学 教授

人間が人間を信頼する、その原初的な姿を、土埃が舞う地表に見た。
戦闘機からは、ヘリコプターの上からは、人間は見えないのだ。

武田 砂鉄
ライター

(敬称略・順不同)

スタッフ

監督/撮影 谷津 賢二

監督/撮影 谷津 賢二

1961年栃木県足利市生まれ。立教大学社会学部卒業後、テレビニュース業界で働く。94年に日本電波ニュース社入社。95年から98年まで日本電波ニュース社ハノイ支局長。登山経験を活かし、ヒマラヤ山脈、カラコルム山脈、タクラマカン砂漠など、辺境取材を多数経験。1998年~2019年アフガニスタン・パキスタンで中村哲医師の活動を記録。これまで世界70か国以上で取材。

[受賞歴]

・1998年NHK「ネパール 塩の隊商がゆく」(撮影)
ATP郵政大臣賞
・04年 NHK「アフガニスタン 戦乱と干ばつの大地から」(撮影/プロデューサー)
ギャラクシー奨励賞、ATP優秀賞
・16年NHK「ベトナム戦争 フィルムの若者を探して」(撮影/プロデューサー)
国際ビデオフェスティバル(アメリカ) ゴールドカメラ賞
・18年NHK「武器ではなく命の水を~医師・中村哲とアフガニスタン~」(撮影/プロデューサー)
ギャラクシー奨励賞、ATP優秀賞、ワールドメディアフェスティバル(ドイツ)金賞
・20年NHK 「良心を束ねて河となす~医師・中村哲73年の軌跡~」(撮影)
ATP総務大臣賞

編集 櫻木まゆみ

福岡県出身。農学博士。動物生態学のフィールドワークで記録用の撮影をしているうちに映像世界にはまりこみ、日本電波ニュース社に入社。撮影、編集、ディレクターを一人でこなし多くの番組や映像作品を制作。’13 NHK BS1「それでもジャーナリストは戦場に立つ」(ディレクター)ATP優秀賞、’18年 NHK ETV特集「武器ではなく命の水を~医師・中村哲とアフガニスタン~」(編集)ギャラクシー奨励賞、ATP優秀賞、 ’20年NHK BS1「良心を束ねて河となす~医師・中村哲73年の軌跡~」(ディレクター)ATP賞総務大臣賞

構成/プロデューサー 上田未生

1991年ソ連で撮影助手のアルバイト中にソ連が崩壊、そのまま報道の世界に飛び込み、日本電波ニュース社で多くの番組、映像作品を手掛ける。 ‘06TV朝日サンデープロジェクト「言論シリーズ~共謀罪~」JCJ賞 優秀賞、’13 NHK BS1「それでもジャーナリストは戦場に立つ」ATP優秀賞、’15 映画「アフガニスタン 干ばつの大地に用水路を拓く」日本映画復興奨励賞 ’20年NHK BS1「良心を束ねて河となす~医師・中村哲73年の軌跡~」ATP賞総務大臣賞

企画
ペシャワール会
朗読
石橋蓮司
語り
中里雅子
取材
柿木喜久男/大月啓介/アミン・ウラー・ベーグ
CG
平野雄一
音効
渡辺真衣/大島亮
演奏
中村幸
宣伝美術
鈴木響
宣伝・配給統括
島田陽磨
助成
文化庁文化芸術振興費補助金
(映画創造活動支援事業)
製作・配給
日本電波ニュース社 
2022年/日本/カラー/90分

劇場情報

2022年7月23日(土)より
ポレポレ東中野にて
ロードショー!

名古屋シネマスコーレほか
全国順次公開